隼人のHave a break!

気ままな隼人のつれづれ日記 楽しい時間を共有します

2016年04月

昨日無事に帰国いたしました

花粉から逃げたつもりでしたが

どうやら鼻炎のようで
渡航先でも
常に鼻はグズグスしてました

目がかゆくなることはなかったので
やはり鼻炎なんでしょうね〜

で、帰国したとたんにくしゃみが止まらない 

水っぱなが止まらない

はやく帰国し過ぎたか??? 笑 

杉よりも檜の花粉の方が私にはつらいようです


今回の旅の話は
追々書きますね〜

 

  23

 僕は2時間も前からこうしてベンチに座っている。
ヤンキースのウインドブレイカーだけではさすがに寒い。
僕はベンチから腰を上げるとリンクの真ん中まで歩いて行った。
朝からの雪はもうすっかりあがり、空には満天の星が輝いている。
神々を怒らせたエチオピアの女王カシオペアが、海神ポセイドンによって玉座ごと逆さまにされて永遠に天空の彼方につるされてしまった。
そんな映画の中でのジョナサンとサラの会話を思い出しながら僕はカシオペアを探した。

でも澄みきった冬空に自分の吐く息が白く幕を張り邪魔をする。
息を吸っている間に急いで探す。
それを何度か繰り返してやっと見つけた。


「やっと、逢えたね。」

 目の前に息を切らした梢が立っていた。
走ってきたのか、上気した梢の体から白く湯気がたっている。
まっすぐ僕を見つめる輝いた梢の瞳は、東京で出会った時とまったく変わらない。
僕は、彼女をゆっくりと引き寄せると抱きしめた。
頬がひんやりと冷たかった。
僕は、梢の温もりが服を通して自分の肌に伝わってくるまで、何も言わずに抱きしめていた。


「僕たち、やっぱり逢えたね。」

体を放すと僕は言った。

「うん・・・」

僕たちの恋は今から始まる。
でも、もうずいぶんも前から愛し合っていた気がする。
長い間離れていた時間を、梢に対する気持ちが埋めていた。


「君にプレゼントがあるんだ。」

用意していた空色の紙袋を渡した。

「ティファニー・・・開けていい?」

「気に入ってくれるといいんだけど・・・」

空色の小さな箱にかけられたリボンを外すと言った。

「・・・素敵。」

そして彼女は例の指輪をはずそうとした。

「はずさないで。」

僕は、彼女の手をとって指輪を元の位置にもどした。

「これは、僕にとっても大事な指輪なんだ。君と僕を結びつけてくれた・・・そうだろう?だからはずさないで・・・」

 僕は、彼女の同じ左手の薬指に重ねてもう一つの指輪を押し込んだ。
彼女の指輪にはプラチナに三つのサファイアが埋め込まれている。
僕が贈った指輪には、同じプラチナに小さなダイアモンドが二つ埋め込まれている。

そしてそれが重なったとき、彼女は思わずつぶやいた。

「・・・カシオペア・・・」

「ふたつで一つ・・・」

指を広げてしばらく指輪を見ていた彼女の目からひと粒の涙がこぼれた。

「ありがとう・・・彼があなたを選んでくれたのね。」

僕は、もう一度彼女を引き寄せた。
とても長くて、柔らかいキスだった。

 僕たちは、アニータと翔の待つアパートに向かって歩いていた。

「ね、『オータムインニューヨーク』って観た?」

「もちろん。もう何回も観た。でもね、私は最後まで観ないの。彼女が死んでゆくの、わかっているし・・・それに、おじいちゃんになったリチャード・ギアなんて見たくないもん。」

思わず、笑ってしまった。

「何がおかしいの?」

「別に・・・」

「ねぇ言ってよ。」

「僕と同じ意見だったからうれしかったんだ。あのシーンをどう思うか、君に聞きたいってずっと思っていたから・・・あーすっきりした。」

「へんなの。」

そう言って梢が笑った。
どんな理由だろうと笑えばいい。
僕なんかさっきからずっと顔がニヤついている。

映画『卒業』で花嫁を奪い取ったダスティン・ホフマンがバスの後部座席でニヤついていた。
きっと、今の僕と同じ気持ちだったに違いない。

2人は会えますかねぇ〜???
会えるといいですね〜 

この物語が
一人でも多くの方々を
しあわせな気分にしてあげられることを願って

最終章は
みなさまの心の中に
いろんな結末を描いてください

ん???


気のせいか
罵声が聞こえたような??? (⌒∇⌒)



 

  22

 僕は、今年の正月は日本に帰らないことにしていた。
できるだけニューヨークの四季を肌で感じていたかったからだ。
それに、休み明けにラスベガスでのロケが控えていた。
その準備もあったので、翔たちと新年を迎えた。


 僕たちは新年早々映画三昧だった。
翔も映画に慣れてきていた。
アニータもさりげなくフォローしてやっていた。
僕は『セレンディピティ』が見たかった。
この映画と、梢と僕との共通点はたくさんあった。
ジョナサンも彼女の名前と電話番号の書かれた本を見つける。
でも、彼がその本を見つけたのは出会ってから7年後のことだったから、すでにその電話番号は他人が使っていた。
それでも彼らは逢うことが出来る。
ジョナサンの電話番号が書き記された5ドル紙幣がサラの手に戻るからだ。
所詮、それは映画の話。
そうなると運命を通り越して奇跡に近い。
いまさらこんなことを認めたくはないが、脚本家の都合のいいマジックによって彼らは感動的な再会を果たすことができる。
そんな運命のサインなんて現実には存在しないのだ。
実際、僕たちは運命に導かれる唯一のサインをすでに断ち切られてしまっていた。


 ラスベガスでは、ベラッジオに泊まる予定だった。
空港から相乗りのシャトルバンに乗った。
往復で8ドル、ホテルが立ち並ぶストリップまでは本当に近い。
シャトルは途中いくつかのホテルで客を降ろしながらまわるが、ベラッジオに到着したのは意外に早かった。


 フロントでチェックインの手続きをした。
手書きで2435と部屋番号が書かれた紙でできた二つ折りのカードケースを受け取った。
中にプラスティックのカードキーが挟まれている。
少し早く着いたので、まだ部屋のクリーニングが終わっていないという。
僕は荷物を預けて少しスロットで遊んでみようと思った。
初めてであまり勇気がなかったので5セントのマシンで遊んだ。
20ドル紙幣を右上の挿入口に入れるとデジタル表示で枚数が記されてゆく。
つまり400枚だ。
ドラムが横に5列並んでいる。
縦には3列。
いくつもの可能性にチャレンジするためは5セントと言いながら1回に35枚をベットしなければならない。
しかし、なぜかどんどん増えてゆく。
どういう組み合わせになると当たったことになるのか最初はわからなかった。
しかも、枚数がデジタルで表示されるだけなのでお金という実感がわかなかった。
でも、しばらく遊んでいるとなんとなく仕組みがわかってくるものだ。
5列のドラムにパーティと書かれたマークが3つ並ぶと音楽とともに画面上に30個のリボンに結ばれた箱が並ぶ。
それを一つずつ指でタッチしてゆく。
すると300とか75とか書かれた数字が出てくる。
これがなんと当たった枚数なのだ。
30個の箱のうち6個にはずれが入っている。
つまり、はずれを引かない限り箱を開けることが出来る。
確率80%だ。
結局、1時間で4000枚になった。

そろそろ、クリーニングも終わった頃だったので、係を呼んで精算してもらった。
200ドル・・・5セント4000枚がたったの200ドル・・・感覚的にうまく結びつかなかった。
思ったより少なくてがっかりしたが、もとは20ドルだから、時間つぶしとしてはいい稼ぎになった。


 部屋は2435だ。
エレベーターホールではガードマンがいちいちキーをチェックする。
24階にエレベーターで登った。
そしてカードキーを差し込んだ。
ランプがグリーンに変わらない。
何度かやってみたがドアが開かない。
僕は、フロントに戻ってクレームをつけた。


「おかしいですね。このキーに異常はないのですが・・・」

そう言うとベルボーイを無言で手招きした。
僕は彼の後に着いて行った。
彼はエレベータに乗り込むと26階を押した。


「24階だろ?」

「いえ、お客様のお部屋は26階でございます。」

 僕は、部屋番号の書かれたカードケースを改めて見た。
そこで、はじめて自分のミスに気がついた。
アメリカ人の書く数字の6は4に見えるのだ。
はずかしくなった僕は、ベルボーイにチップを渡して帰ってもらった。


 部屋に入った僕はテーブルにカードキーと部屋番号の書かれたケースを投げた。
今度は間違えないようにと頭に数字を叩き込んだ。

2635・・・2635・・・待てよ?

僕は、さらにとんでもない間違いに気がついた。
梢の電話番号は、どうだっただろうか?

確か数字の4が入っていたような気がする。
いや彼女は日本人だから、たぶんそんなややこしい数字は書かないはずだ。
僕は、確かめたくて、アニータに電話を入れた。
そして、電話を確認するように頼んだ。
30分経って電話が鳴った。
やっぱり間違えていた。
8427だと思っていた番号は8627だったのだ。


僕は、焦る気持ちを抑えて電話をかけた。

「ハロー?」

女性だ。
でも、日本人じゃない。


「あの、梢さんとお話がしたいのですが・・・」

「梢は、今日本です。来週まで帰ってこないんです」

「そうなんですか・・・僕は、悟と言います。僕も今仕事でラスベガスに来ていて1週間はニューヨークに戻れません。再来週の土曜日の夜8時にセントラルパークのスケートリンクで待っていると伝えてくれますか?」

「もちろん」

「それとセレンディピティと伝えてください。そう言えば彼女はわかります。」

 セレンディピティ・・・それは、幸せの偶然。
僕はあえて自分の連絡先を伝えなかった。

もう必要ないと思ったからだ。

ここハワイにいると
陽が沈みそしてまた太陽が昇ってくる
その自然の営みを目の当たりにするのですが

確実に言えるのは
太陽は世界中に希望の朝をもたらす 

希望を持つ
そして支え
心を寄り添わせる

私たちにできることですね

 

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